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在宅酸素療法患者のための追従型搬送移動車両
Movie 1 追従のデモンストレーション
Movie 2 坂道・狭隘路での追従
Movie 3 段差踏破のための車両機構

 (2008年~)在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy, HOT)は肺機能の低下した患者さんに対し,高濃度の酸素を鼻や口から供給することで血中酸素濃度を保つ療法であり,日本でおよそ16万人が 加療中である.生活の質や体力を維持するため,散歩などの運動が一般に推奨されているが携帯用酸素ボンベと,それを運ぶカートの総重量はおよそ4kgある.そのため外出が億劫となり家に引きこもった結果,鬱症状に陥ることもある.そこで本研究はより気軽に外出し患者さんのQOLを高めることができるよう,酸素機器を積載し自動で付いてくる電動型搬送移動体を提案し研究開発を行っている.
 今までに開発された「人に追従・Eキるロボット」の多くは,レーザーレンジファインダやステレオカメラなど高価な無線式の計測装置を用いていた.これに対し,本機器ではもともと患者さんと移動体は酸素を供給するためのチューブで繋がれていることに着目し,紐状のインターフェース(テザー)を用いることにした.患者さんはテザーの端部を手に持ったり,腰に付け,もう一方の端部は巻き取り式のリールを介して移動ロボットに取り付けられている.紐の長さと向きを計測すれば先導する人の相対位置が分かるため,この距離を一定に保つように車両の進行速度を制御すれば人に追従することが可能になる.なお紐を引っ張る力はおそよ250[gf]程度で腰に付けた場合ほとんど気づかないほど小さく抑えられている.
 また屋外の歩道環境を走行することを想定し,歩道と車道を隔てる一般的段差80mmを踏破でき,かつなるだけ軽量コンパクトになる車両構造を検討した.このため高い不整地踏破性を持つ惑星探査車両の構造を参考にし,前後に受動車輪を1輪ずつ,中央左右に駆動輪を2輪配置する菱形配置になっている.前輪と駆動輪を差動機構で懸架することで段差踏破時の重量バランスを適切に配置することができ,従来型の4輪車両に比しておよそ2倍の段差踏破性を実現している.試作機の大きさは670×460×420mm, 質量7.5kg(バッテリ・ボンベ含む),およそ2.5kgの酸素機器を積載することが出来る.
 現在,北信ながいき呼吸体操研究会・北信フライングディスククラブ,清瀬呼吸器障害者の会などの医療関係者・患者団体にご協力頂き,試用テスト並びにユーザニーズに基づく継続的な改良を続けている.(本研究は大阪電気通信大学 入部研究室,東京女子医科大学 田窪敏夫講師との共同研究です.また東京工業大学疫学研究等倫理審査委員会の承認を受けています(第2012014号).)

Fig.1 現在の携帯用酸素カート

Fig.2 提案する移動体の利用イメージ

Fig.3 試作機

Fig.4 患者さんによるモニター調査

Fig.5 第3回HOTフライングディスク大会での試用実験

References:

  1. 遠藤玄,田窪敏夫,福島E.文彦,入部正継,広瀬茂男: 日常生活支援のための実用的ロボティックフォロワの研究 第1報:ハイパー・テザーを用いた在宅酸素療法用ボンベ運搬移動体の提案, ロボティクスメカト・鴻jクス講演会 講演予稿集, 2P2-F08 (2008) [PDF]
  2. Masatsugu Iribe, Hideaki Matsuda, Hiroyuki Aizawa, Gen Endo, and Toshio Takubo: Study on a Practical Robotic Follower to Support Daily Life ?Mobile Robot Development for Home Oxygen Therapy Patients with the Hyper Tether?, Journal of Robotics and Mechatronics, Vol.23, No.2, pp.316-323 (2011)
  3. Atsushi Tani, Gen Endo, Edwardo F. Fukushima, Shigeo Hirose, Masatsugu Iribe, Toshio Takubo: Study on a Practical Robotic Follower to Support Home Oxygen Therapy Patients -Development and Control of a Mobile Platform-, Proc. Int. Conf. on Intelligent Robots and Systems, pp. 2423-2429 (2011) [PDF]
  4. 遠藤玄, 谷篤, 福島E.文彦, 広瀬茂男, 入部正継, 田窪敏夫: 在宅酸素療法患者の外出を支援する追従型搬送移動体の開発, 日本ロボット学会誌, Vol.30, No.8, pp.779-787 (2012) [PDF]
  5. 家村侑, 遠藤玄, 福島E.文彦, 広瀬茂男, 入部正継, 池田遼太, 大西公平, 前田直人, 田窪敏夫, 大平峰子: 日常生活支援のための実用的ロボティックフォロワの研究-第6報:患者アンケートによるコンセプト評価-, ロボティクスメカトロニクス講演会講演予稿集, 2A2-C04 (2013) [PDF]
  6. Gen Endo, Masatsugu Iribe, Yu Iemura, Ryota Ikeda, Kohei Onishi, Naoto Maeta, Edwardo F. Fukushima, Shigeo Hirose, Mineko Ohira, Toshio Takubo: Study on a Practical Robotic Follower to Support Home Oxygen Therapy Patients -Questionnaire-Based Concept Evaluation by the Patients-, IEEE International Conference on Rehabilitation Robotics, C28 (2013)
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